ブック・「永遠の仔」


  コメント:小出町 かっこちゃん 2004年4月
 この小説は、主人公の女性(優希)が、17年前に過ごした入院生活と、現在進行 形の物語が交互に描かれています。 現在、看護婦として働く主人公は、17年ぶりに彼女に関わった少年達と再会し ます。 物語は、ここから始まるといっても良いでしょう。
彼女たちが再開を果たした夜、多摩川の河川敷で殺人事件が起こるのです。 犯人像がまったく浮かび上がらないままに、やがて第2、台3の殺人事件へと進ん で行きます。
 この小説は、殺人事件を描きながら、そのテーマは「心の救い」ではないかと感 じました。 傷ついている心を救ってくれるのは、家族なのか、親しい友人なのか。 17年前に霧の霊峰で起こした事件が、本当に彼女を救ったのだろうか? 主人公をはじめ、彼女を取り巻く人達は皆救いを求めてさまよいつづけるのです。
このテーマについては、本の書名ではないけれど、私にとっても永遠の答えの出な い問題になりそうです。 質量も重量もある小説です。 決してハッピーエンドで終わる物語ではありませんでした。 それでも、病院で少年たちが過ごしたいくつかの情景が、温かく心に残ったのは私 にとっての救いでありました。

☆☆☆ないーぶネットの詳細情報
書名:永遠の仔(エイエン ノ コ)
著者名:天童 荒太(テンドウ アラタ)
出版社:幻冬舎 1999年03月
時間数:上巻16時間22分 下巻19時間57分
点訳、音訳、デイジー すべてあります。
山本周五郎賞 受賞作から三年余。 沈黙を破って放つ最高傑作ミステリー!

これで、永遠の仔のページを終わります。


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